八百津だんじり祭は、300年以上の歴史を誇ります。
合体すると1艘の船の形になる3両の巨大な山車が八百津町役場前から八百津の産土神である大舩神社までの町内を曳手の大きな掛け声とともに練り歩きます。
山奥のまちで舟型のだんじりというのが不思議に感じられますが、現在の交通網から隔絶された八百津町は、町を東西に流れる木曽川沿いに「錦織湊」「黒瀬湊」の2つの湊を持ち、中世末期から木曽川舟運で栄えた町だったという歴史がありました。
八百津だんじり祭は、木曽川の舟運で栄えた象徴として元禄年間に筏乗りの安全祈願のために始まったとされています。
その頃の八百津は、木曽川上流で伐採した木材を筏に組む要所であったのと同時に、様々な商品も交易されていた地でもありました。
「錦織湊」は江戸期からは木曽木材の網場・筏場として発達した川湊で、尾張藩錦織材木奉行が置かれており、木曽川舟運最上流の湊である「黒瀬湊」は商業の町として発展し定期市が開かれ、問屋や商家が立ち並んでいました。
木曽川上流で伐採された木材を、錦織湊(錦織綱場)で筏に組み、さらに下流へと運んでいた歴史がある八百津ですが、それに倣ってか八百津だんじり祭のだんじりの接合部分も藤づるで締め付けてあります。
毎年新しい藤蔓で締めなおし、締め具合を調整する「山絡げ」は、祭前の大切な作業です。
山車の車輪は外輪で、輪に直角方向に歯車のように鉄の板が打ちつけてあるので動くとゴトゴトと振動が常に山車全体に伝わっています。
角を曲がる時は前進させながらズルッズルッと強引に向きを変えますが、16人の若者(16人衆)が押木と呼ばれるだんじりの前後に伸びた2本の長い木と各車輪をテコ棒で巧みにさばき、曳き手の掛け声とともに辻などを豪快に曲がります。
先人は筏づくりの経験から、道幅がせまく常に坂道の連続の中を荒々しく曳き廻すという過酷な負荷に山車が耐えるには藤蔓で締め上げて組み立てる構造がだんじりには最適であると考えました。
藤はマメ科の蔓性落葉木本なので立木によく巻き付きます。さらに、藤は太く成長し、ちぎれません。巻きついた藤が立木を圧迫し歪な形にしてしまいます。
さらに、藤の蔓は林業従事者を危険にさらします。
周りに木がなければ1本に巻きつくだけですが、森林は周りの木の枝が触れ合っているため他の木に巻きついていきます。そのため、伐採しようにも横の木に巻きついた藤が木を固定、もしくは振れるため狙った通りの方向に倒れてくれません。
それどころか、掛かり木になってしまったり、自分の方向に倒れてくる可能性もあります。
そいったことから、林業でスギやヒノキの人工林を作るときには、いの一番に取り除く木なのだそうです。
かつては、筏を組む際だけではなく、生活の中でも活用されてきた藤蔓。
集落総出で山林に繰り出し行った下草刈りなどの際、藤の蔓を見つけると必ず切っていましたが、最近ではスギ林でも、放置されて育った藤の花が咲くということもあるようです。
このツアーでは、現在の林業にとっては山を荒らす原因になってしまっている「藤蔓」
その植物としての特徴を学びながら、昔の生活に倣う、藤の蔓とのサスティナブルなつきあい方について考えます。
時期には美しい花を咲かせ、人の目を楽しませる藤の花ですが、林業従事者にとっては山を荒らす邪魔者。しかし最近では伐られず放置され、杉林で成長した藤の花が咲くということもあるようです。
来年の4月の祭のために、大幕や水引幕等の装飾品をはじめ、山車を組んでいる各部品を並べて天日干しをします。
植物が水をあげない時期(9月~11月)に切った竹には虫が入らないとされるので、この時期に切っておく。
山車の曳き綱を、もち米の藁で作っていた。同時に神社の正月用の締め縄も作っていたが、現在では曳き綱作りは行われておらず、締め縄づくりだけが残っている。
「山絡げ」に使用する藤蔓を山に採りに行く。※近年では手入れされていない山が多く、入れる山も減っており採れる場所が減ってきている。
硬化した藤の蔓を柔らかくするために、しばらく水に浸け、水分を補給します。
藤の蔓を水から上げる。まだ硬い場合は、上下左右に曲げて揉みほぐすようにしてしなやかさを出す。
だんじりの接合部分を藤蔓で締め、組み立てます。その後、試し曳きを行い、締め具合を調整する。
締め上げた藤の蔓が祭本番まで乾燥しないよう、蔓に毎日水をかける作業がある。
試樂は各組内を曳き廻し、本樂は八百津町役場前から八百津の産土神である大舩神社までの町内を曳き手の大きな掛け声とともに練り歩きます。
※この体験企画は、現在準備中です。 募集開始までに、内容が変更される可能性がありますので、ご了承くださいませ。 募集開始は、2025年1月20日を予定しております。 森の中の古道整備で山をきれいにしよう かつては生活道と […]
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