かつて八百津は、木曽川上流で伐採した木材を筏に組む要所であったのと同時に、様々な商品も交易されていた地でもありました。
 物資を川で運ぶことを「舟運」と呼びます。山国の特産物は黒瀬街道を人馬に背負われ、中継地の久田見を経て、木曽川の黒瀬湊へと運ばれ、舟に積まれて下流各地へと送られていました。
下りの一艘に載せられる荷物量は四六〇貫(約一七二五kg)で、炭、薪、氷、木材、コンニャク芋、お茶、生糸、雑穀であったとされています。

 八百津町のお茶は、主に標高600メートルを超える「福地エリア」、標高520メートル「久田見エリア」で栽培されています。
お茶の品質を決める非常に重要な要素の1つが茶園の標高。また、当時の流通経路となっていた「黒瀬街道」沿いであるという好条件も手伝って発展していきました。



岩平茶園
岩平茶園の周りには農家も無ければ隣家もありません。そんな環境を活かし実現した、薬品を使用しない栽培の取り組みは地道そのもの。害虫を手作業で取り除きながら、お茶の樹に体力(樹力)が付くよう肥料を工夫したり、土つくりに力をいれています。  年に二回の土壌診断で量を決める肥料は主自家製肥料。久田見の「丸登豆腐店」から廃棄されるおからと、久田見の「あおやぎ青年隊」から籾殻を頂き、八百津の酒蔵「蔵元やまだ」から頂いた酒米の精米の際に出る米ぬか、菜種粕、独自に納豆菌や乳酸菌を培養した菌を混ぜ合わせ、六ヶ月から一年かけ発酵成熟させたものです。  上手に発酵させるとほのかに甘いお味噌のような香りがする堆肥は、春と秋に土に入れています。 自然豊かな久田見の山奥を切り拓いてできた家族経営の茶園。三代目が奮闘中